GUIDE 04 / MONEY・ACCOUNTING・DATA

電子地域通貨の
お金と会計の流れ

チャージ、利用、加盟店精算、期限切れ。各段階を選ぶと、商工会議所等の運営者から見た「お金」「簿記」「データ」と、担当者が確認すべきことが切り替わります。

対象:商工会議所・商工会等有償電子地域通貨インタラクティブ法的確認日:2026.07.16
01 / ASSUMPTION

まず、誰が運営するかを固定する。

このガイドでは、商工会議所・商工会・協同組合・地域会社等の経済団体が、発行者・運営主体となり、複数の加盟店で使える電子地域通貨を運営する場面を基本にします。

基本の見方

口座のお金ではなく、
「誰に対する義務か」を追う。

チャージ時は利用者への義務、利用後は加盟店への支払義務、期限切れ後は条件を確認して収益へ。現金・負債・収益を分けることで、事業のお金が見えるようになります。

継続型法第4条等の適用除外がなければ、第三者型前払式支払手段発行者として発行前の登録を確認します。
短期型発行日から6か月以内に限って使える場合でも、チャージ・精算・期限切れの会計処理は必要です。
行政ポイント自治体原資は返還・繰越条件が異なるため、有償マネーと同じ退蔵益処理を自動的に行いません。
02 / INTERACTIVE FLOW

段階を選んで、三つの流れを確認する。

金額は説明用の単純な例です。実務では券種、原資、取引取消、手数料、契約条件に合わせて区分します。

確認する段階
法的な前提を切り替える
MONEY FLOW

BOOKKEEPING FLOW

仕訳の基本例

運営者である商工会議所等の帳簿を、簡略化して表示します。

DATA FLOW

システムに残す主なデータ

    OPERATOR CHECK

    担当者が確認すること

      03 / QUICK REFERENCE

      チャージから退蔵益までの、仕訳早見表。

      インタラクティブ表示の内容を、4段階で一覧できます。勘定科目名は、各会議所の会計規程・会計方針に合わせて調整してください。

      STEP 01 / CHARGE

      チャージ

      預金と、利用者に対する未使用残高の負債が同時に増えます。

      借方
      普通預金 1,000円
      貸方
      電子地域通貨未使用残高 1,000円
      STEP 02 / USE

      加盟店で利用

      利用者への義務を減らし、加盟店への支払義務へ振り替えます。

      借方
      電子地域通貨未使用残高 700円
      貸方
      加盟店未払金 700円
      STEP 03 / SETTLEMENT

      加盟店精算

      加盟店への未払金を消し、実際の振込により預金を減らします。

      借方
      加盟店未払金 700円
      貸方
      普通預金 700円
      STEP 04 / EXPIRY

      期限切れ・退蔵益

      返還・延長・払戻義務がなく、発行者への帰属が確定してから収益へ振り替えます。

      借方
      電子地域通貨未使用残高 300円
      貸方
      電子地域通貨退蔵益 300円
      04 / DO NOT MIX

      同じ「1円相当」でも、原資を混ぜない。

      期限切れ後の帰属は、残高の名称ではなく、誰が原資を負担し、契約上誰に返すのかで変わります。

      01 / PAID MONEY

      有償電子マネー

      利用者が対価を支払った残高。利用者への義務、加盟店精算、期限切れ後の帰属を管理します。

      • 利用規約
      • 有効期限
      • 払戻・延長条件
      02 / PUBLIC POINT

      行政ポイント

      自治体の委託料・補助金等を原資とする残高。未使用額が会議所の収益になるとは限りません。

      • 自治体への返還
      • 次年度への繰越
      • 実績精算
      03 / PREMIUM

      プレミアム分

      利用者負担部分と、自治体等の負担部分を分け、期限切れ後の扱いを交付条件から確認します。

      • 負担者別内訳
      • 補助金・負担金条件
      • 使途制限
      05 / YEAR-END

      年度末は、残高を四方向から照合する。

      システム、会計帳簿、銀行・精算、法令・契約の数字を並べ、差額の理由を記録します。

      残高・取引
      • 年度当初・年度末の未使用残高
      • 年度中の発行額、利用額、取消額
      • 加盟店未払金と精算額
      • 期限切れ予定・確定額
      原資・券種
      • 有償マネー、行政ポイント、プレミアム分
      • 自治体別・事業別の付与額
      • 付与店舗・利用店舗の内訳
      • 返還・繰越予定額
      区分会計
      • 電子地域通貨事業と会議所のその他事業
      • 収益事業と非収益事業
      • 直接費と共通経費の按分
      • 退蔵益の専用補助科目
      確認・承認
      • システム残高と帳簿残高の一致
      • 自治体への返還義務
      • 税理士・監事・責任者の確認
      • 根拠データと承認記録の保存
      06 / LEGAL & TAX

      会計、税務、資金決済法は、目的が違う。

      同じ残高を見ていても、制度ごとの算定目的が違います。「会計で収益にしたから、法令上の残高からも消える」とは限りません。

      分野基本的な整理
      資金決済法利用者保護と未使用残高の保全が中心です。経済団体等が複数加盟店で使える有償残高を発行する場合、適用除外の有無と第三者型登録を確認します。発行日から6か月以内に限って使用できる場合は、法第4条第2号・施行令第4条を確認。
      会計チャージ時は利用者への義務、利用後は加盟店への支払義務として負債を管理します。期限切れ後は帰属が確定してから収益へ振り替えます。
      法人税商工会議所等では、電子地域通貨事業が法人税法上の収益事業に該当するかを確認します。該当する場合、退蔵益が益金に含まれる可能性があります。
      法人事業税収益事業から課税所得が生じる場合には、法人事業税等も個別に確認します。
      消費税商品券等の原始発行は資産の譲渡等に該当せず、退蔵益の収益計上だけで新たな商品・サービス提供が生じるわけではありません。加盟店手数料等は別取引として判定します。
      自治体契約行政ポイント、プレミアム原資、委託料の未使用額は、返還・繰越・実績精算の条件を契約・交付要綱で確認します。
      登録済み事業の重要点:金融庁の前払式支払手段発行者関係事務ガイドラインでは、税法上の収益、いわゆる退蔵益として財務諸表に計上した発行残高も、基準日未使用残高に含めるとされています。
      07 / FAQ

      よくある誤解を、先に外す。

      個別事業では、利用規約、契約、会計方針、システム仕様を確認してください。

      6か月以内なら、退蔵益の処理は不要ですか。

      不要にはなりません。6か月は資金決済法上の適用除外を判断する基準です。会計上は未使用残高を負債として管理し、期限切れ後に発行者への帰属が確定すれば収益計上を検討します。

      銀行口座にあるお金は、会議所の運営費に使えますか。

      口座残高には、利用者の未使用残高や加盟店未払金に対応する資金が含まれます。負債、返還額、必要な保全額を確認せず、自由資金として扱うのは危険です。

      行政ポイントの期限切れも退蔵益ですか。

      契約次第です。自治体への返還、次年度繰越、次回原資への充当が定められていれば、利用者側で期限切れになっても会議所の収益にはなりません。

      退蔵益はすべて利益として残りますか。

      退蔵益は収益です。システム費、人件費、監査費用等を差し引いた後の事業所得・利益とは異なります。税務上は収益事業への帰属と対応費用を含めて判断します。

      10 / SUMMARY

      追うべきものは、
      口座残高だけではない。

      「誰のお金か」
      「誰に支払う義務があるか」
      「発行者の収益として確定したか」

      この三つを、システムデータ、会計帳簿、契約・法令で照合することが、電子地域通貨の持続的な運営につながります。

      CONTACT

      個別の会計・制度設計は、
      お問い合わせください。

      チャージ、加盟店精算、期限切れ、行政ポイントの原資処理は、発行形態・契約・会計規程によって判断が変わります。一般論から一歩進んだ論点整理をご希望の場合はご相談ください。