PRACTICAL GUIDE / CLOSURE・REFUND・DATA

電子地域通貨の
事業終了・払戻し

事業を止めるだけでは終わりません。利用者残高、加盟店精算、公告、予算、データを最後まで処理して、初めて事業は終了します。

対象:自治体 商工会議所・商工会等 有償残高・無償ポイント インタラクティブ 法的確認日:2026.07.22
00 / First Principle

事業の終わり方を決めずに、
事業を始めてはならない。

電子地域通貨は、利用者からお金を受け取った時点で将来の責任を引き受けます。システムの契約が終わっても、その責任は自動では消えません。

CIVIO CORE MESSAGE 追うべきものは「口座のお金」ではない。
終了時点で、誰に対する義務が残っているか。
User

利用者への義務

有効な有償残高を使える状態にするか、法令や契約に従って払い戻します。

Merchant

加盟店への義務

最終利用分、取消し、返品を確定し、加盟店契約に基づいて最後の精算を行います。

Data

データを残す義務

残高確認と二重払戻し防止に必要なデータは、システム停止後も一定期間使える状態にします。

「資金決済法を通す・通さない」は任意に選ぶものではありません。仕組みが要件に該当すれば適用されます。適用除外に当たる場合だけ規制対象から外れます。適用除外でも契約上の責任まで消えるわけではありません。
01 / Legal Definitions

まず、四つの言葉を
分けて考える。

「預り金」「未使用残高」「事業終了」「払戻し」は同じ意味ではありません。ここを曖昧にすると、会計処理と利用者保護がずれます。

Prepaid Value

前払式支払手段

利用者が先に対価を支払い、記録された価値を使って、発行者または加盟店から商品・サービスの提供を受ける仕組みです。銀行預金や単なる現金保管とは異なります。

発行者が負う中心的な義務は、現金をいつでも返すことではなく、価値に対応する商品・サービスを提供すること。
Accounting

「預り金」と未使用残高

会計上「預り金」「前受金」などの科目を使う場合があっても、勘定科目だけで法的性質は決まりません。資金決済法では、発行額、回収額、未使用残高と履行義務を正確に把握します。

基準日未使用残高が1,000万円を超える場合は、原則としてその2分の1以上を発行保証金等で保全。
Closure

利用終了・事業終了

資金決済法上の「利用終了」は、前払式支払手段の発行業務の全部または一部を廃止することです。事業承継が行われる場合は除かれます。

新規発行だけを止め、既存残高を引き続き使える状態にすることとは区別する。
Refund

払戻し

通常時の自由な換金ではなく、発行と使用を終了するときに、保有者へ未使用残高を返す利用者保護の手続です。資金決済法の対象では、公告、申出、払戻しを一体で進めます。

法令上の60日間は最低限の申出期間。利用規模に応じ、十分な期間と周知方法を設計する。
資金決済法上の管理は「受け取った現金を、そのまま利用者別に預かること」ではありません。

受取資金のキャッシュ・フローだけでなく、未使用残高と商品・サービス提供義務を把握し、必要な保全措置を講じます。事業終了時には、その未履行の価値を払戻しまたは承継によって処理します。

02 / Interactive Route

あなたの事業は、
どの終了ルートか。

5つの質問に答えると、優先して確認すべき事項を表示します。結果は法的判断ではなく、財務局や専門家へ相談する前の論点整理です。

01 / 05

発行者は誰ですか?

事業費の負担者ではなく、利用者に残高を発行し加盟店へ精算する主体を選びます。

終了時に残る価値は何ですか?

名称ではなく、利用者が対価を支払ったか、原資を誰が負担したかで選びます。

有効期限は、発行日から6か月以内ですか?

資金決済法の6か月基準に沿って、期限の長さだけを確認します。無期限は「6か月を超える」に含めます。

資金決済法上の整理は?

発行主体によって選択肢が変わります。

事業をどう終えますか?

発行と使用を止めるのか、別の発行者へ残高を承継するのかで対応が変わります。

Your Closure Route

診断結果

要個別確認

最初に止めること

    利用者への対応

      発行者内部で確保するもの

        外部確認先

          03 / What Remains

          「残高」を一括りにしない。

          何を返すのかは、残高の性質と終了時点の権利状態で変わります。該当する残高を選んで確認してください。

          Paid Balance

          利用者が対価を支払った残高

          終了時点で有効なら、商品・サービスを利用できる権利が残っています。発行者都合で使えなくする場合は、発行主体に応じた払戻し、利用期間の確保、承継等を検討します。

          共通原則:有効な残高を消して終わらせない
          商工会議所・商工会等資金決済法の対象なら法第20条の払戻手続。6か月以内の適用除外でも、期限前に終了する場合は利用規約と契約に基づく対応を確認します。
          地方公共団体法第20条は直接適用されません。払戻しの根拠、歳入・歳出、予算年度、住民への周知を自治体側で設計します。
          Premium

          上乗せされたプレミアム

          1万円で1万1,000円分を一体として発行した場合などは、利用者が支払った金額だけ返せばよいとは限りません。債務額と残高区分を確認します。

          構造次第:払戻額に含まれる可能性有償分と無償分を表示・帳簿・データで明確に分けていたかが重要です。
          Public Policy

          自治体原資の行政ポイント

          商工会議所・商工会等が発行する場合は、自治体との委託契約、負担金、補助金、交付条件を確認します。自治体自身が発行する場合は、給付の根拠、失効条件、予算と会計処理を確認します。

          原則:原資条件を先に確認利用者側で失効しても、商工会議所等の収益になるとは限りません。
          Free Point

          販促・通常の無償ポイント

          純粋な無償ポイントは、資金決済法上の現金払戻義務が原則として生じません。ただし突然失効させれば利用者とのトラブルにつながります。

          現金返金より、周知と利用機会終了条件を規約に置き、十分な利用期間を確保します。
          Expired

          終了前に期限が到来した残高

          期限が明確に表示され、実際にも期限後は利用できず、利用権が適切に消滅しているなら、後日の事業終了で自動的に払戻対象へ戻るわけではありません。

          原則:権利は復活しない期限表示が曖昧だった場合や、実際には期限後も利用できた場合は別途確認が必要です。
          「発行日から6か月以内」は、資金決済法の適用除外を判断する入口です。6か月を超える有効期限や無期限では、通常この除外は使えません。また6か月以内でも、期限が来る前に事業を終了するなら、有効な残高への対応は残ります。
          04 / Two Issuers

          自治体と経済団体では、
          終了の根拠が違う。

          同じ地域通貨でも、発行主体によって適用法令と内部手続が変わります。

          Economic Organization

          商工会議所・商工会等

          • 複数加盟店で使う有償残高は第三者型を中心に適用関係を確認
          • 発行と使用の双方を止めるなら、法第20条の払戻手続を確認
          • 6か月以内の適用除外は、期限後に実際に使えないことまで確認
          • 利用者払戻しと加盟店精算を別債務として管理
          • 払戻原資、振込手数料、システム維持費まで確保
          ORG
          Municipality

          地方公共団体

          • 自治体自身の発行は資金決済法第4条の適用除外
          • 第三者型登録や自家型届出を選ぶルートではない
          • 資金の帰属、歳入・歳出、予算年度、支出根拠を確認
          • チャージ代を安易に歳計外現金として保管しない
          • 翌年度まで申出を受ける場合は予算と窓口を残す
          CITY
          Off-budget Cash

          自治体の歳計外処理は、
          「予算に入れない預り金」ではない。

          地方自治法第235条の4では、普通地方公共団体が所有していない現金を保管できるのは、法律または政令に根拠がある場合に限られます。その現金を「歳入歳出外現金」と呼びます。一般に「歳計外現金」と呼ばれることもあります。

          自治体に帰属する資金

          自治体の収入として受け入れるなら、歳計現金として歳入科目、利用時の支出、払戻時の支出根拠、年度をまたぐ予算を整理します。

          自治体に帰属しない資金

          歳入歳出外現金として保管するには、法律または政令の根拠が必要です。条例や会計規則だけで、地域通貨のチャージ代を自由に預かる根拠は作れません。

          先に決めるのは勘定科目ではなく、資金の所有者と利用者の権利です。その資金が自治体に帰属するのか、商工会議所等に帰属するのか、加盟店への精算資金なのかを整理した後で、条例、規則、要綱、予算、会計処理を組み合わせます。
          05 / Closure Timeline

          終了日は、一日ではない。

          資金決済法上の利用終了は、発行業務の全部または一部を廃止し、発行と使用の双方を取りやめる場面です。新規発行、利用、払戻し、加盟店精算、データ削除には別の日付を置きます。

          06 / Refund Flow

          払戻しは、振り込む前に
          設計する。

          利用者全員へ自動送金するだけが払戻しではありません。対象、周知、申出、本人確認、消込みを一つの手続として設計します。

          対象残高を確定する

          有償、無償、プレミアム、行政ポイント、期限切れを区分します。利用者残高と加盟店未払金も分けます。

          最大必要額を計算する

          未使用残高だけでなく、プレミアム、振込手数料、公告費、システム維持費、問い合わせ対応費も見込みます。

          当局・法務・会計へ確認する

          資金決済法の対象なら管轄財務局へ事前相談。自治体は法務、財政、会計、議会対応を確認します。

          公告と個別周知を行う

          法定公告だけで終わらせず、ホームページ、アプリ通知、加盟店掲示、広報紙、郵送等を組み合わせます。

          申出を受け付ける

          対象者、受付期間、申請方法、必要書類、問い合わせ先を明示します。資金決済法に基づく手続では申出期間を確保します。

          本人と残高を確認する

          カード番号、アプリID、登録情報等から権利者を確認します。無記名型では盗難・重複申請の扱いを事前に決めます。

          払戻しと消込みを同時に行う

          振込後は対象残高を無効化し、払戻日時、金額、方法、承認者を記録します。二重払戻しを防ぎます。

          未申出残高と記録を処理する

          申出期間後の取扱い、会計処理、発行保証金、保存期間、データ削除を根拠とともに記録します。

          07 / Common Mistakes

          よくある誤解を、
          先に外す。

          実務で起こりやすい思い込みを開いて確認できます。

          利用停止日を決めれば、その日に残高も消せますか?

          できません。緊急停止が必要な場合でも、利用停止と払戻しは分けて考えます。有効な有償残高を確認し、申出と払戻しの手続を残します。

          発行日から6か月以内なら、終了時の返金は考えなくてよいですか?

          資金決済法上の適用除外となり得るだけです。期限後に実際に利用できず、残高引継ぎもないことが前提です。期限が来る前に発行者都合で利用を終了すれば、利用規約や契約上の対応が必要になります。

          有効期限を設ければ、残高はすべて退蔵益になりますか?

          なりません。権利が適切に消滅したか、原資返還義務がないかを確認します。また会計上収益にしても、資金決済法上の基準日未使用残高に含まれる場合があります。

          無期限ポイントは、退会時に必ず現金化しますか?

          一般的な法律上の当然の換金義務があるわけではありません。会則や利用規約、ポイントの対価性、事業終了条項に基づいて判断します。

          利用者が払った金額だけ用意すれば十分ですか?

          プレミアム付きで一体発行している場合は不足する可能性があります。利用者に対する債務額と、有償・無償の区分管理を確認します。

          商工会議所への補助事業なら、自治体発行として扱えますか?

          自治体が費用を負担するだけでは決まりません。誰が利用者へ発行し、加盟店へ精算し、規約上の義務を負うかで発行者を特定します。

          自治体なら、チャージ代を歳計外現金として預かれますか?

          当然にはできません。自治体所有でない現金を歳入歳出外現金として保管できるのは、法律または政令に根拠がある場合です。資金の帰属を先に確認し、自治体の歳入とするのか、自治体以外の発行者が管理するのかを設計します。

          会計科目を「預り金」にすれば、法的な整理も済みますか?

          済みません。勘定科目は会計上の表示です。資金決済法上の前払式支払手段に当たるか、利用者にどの義務を負うか、未使用残高をどう保全するかは、規約と実態から別に判断します。

          システム会社へデータを任せておけば大丈夫ですか?

          危険です。契約終了と同時に管理画面へ入れなくなると、残高確認や払戻しができません。終了後の出力、保存、協力、削除を契約に置きます。

          08 / Readiness Check

          終了準備、12項目。

          チェック状態はこの端末のブラウザ内に保存されます。未決定事項を担当者と期限に置き換えるための確認表です。

          Readiness
          0 / 12
          09 / Official Sources

          法令と実務資料を、
          分けて確認する。

          個別案件では管轄財務局、自治体の法務・財政・会計部門、弁護士、公認会計士、税理士等へ確認してください。

          本ページは一般的な実務整理です。制度名称だけで結論を出さず、実際の利用規約、契約、条例、予算、残高データ、システム仕様を確認してください。

          11 / Summary

          システムを止めても、
          責任は止まらない。

          誰が残高を管理するのか。誰が利用者へ返すのか。何を返すのか。いつまで受け付けるのか。どの資金から支払うのか。最後まで説明できる仕組みを作って、初めて持続可能な電子地域通貨になります。

          終了時点で有効な有償残高は、原則として利用者を保護する。
          その方法を、事業開始時に決めておく。
          CONTACT

          終了方法は、
          開始時に設計する。

          残高の性質、発行主体、予算、契約、システム仕様によって、終了時に必要な手続は変わります。個別事業の論点整理が必要な場合はお問い合わせください。